子供に英語を自由自在に使いこなせるようになって欲しい!
と願うものの、そんな親の思いはよそに、子供がなかなか英語にやる気を出してくれないと悩む親御さんは多いです。
「言わないでも、子供が自分から英語を進んで勉強するようになる。」
「英語を学ぶことに対して興味関心を強く持つようになる。」
「毎日楽しそうに英語を勉強するようになる。」
こんな風になってくれたら苦労しないのに、、、
と思うのも無理はありません。
しかし、諦めてしまうのは早いでしょう。
モチベーション理論の研究では、「人間の動機がどのように生み出されていくのか」
という観点からの解明が進んでおり、その知見を子供の英語学習の環境作りに活かす事は大いに可能です。
そこで、この記事では、子供のやる気アップの方法に関する「科学的アプローチ」を紹介します。
英語に限らず、勉強一般に関して応用可能な知識ですので是非ご一読下さい!!

この記事の内容
子供のやる気をアップさせる科学的アプローチとは?
まず始めに述べておきますと、
「やる気」=「モチベーション」=「動機」
この3つの言葉は以後同じ意味で使っていきますね。
さて、人間のモチベーションについては大きく分けて2つあることが知られています。
その2つとは、
・外発的モチベーション
・内発的モチベーション
です。
外発的モチベーションとは、例えば、以下に示すような状態を外発的モチベーションで動いていると言います。
- 勉強しないと親に怒られてしまうから勉強する。
- テストでいい成績をとったらご褒美にゲームを買ってもらえるから勉強する。
つまり、自分以外のだれからから命令されたり、なにかご褒美などの報酬をもらえるから、
といった理由で行動を起こす場合、それを外発的なモチベーションに基づいて行動していると言います。
一方、内発的モチベーションとは、例えば以下に示すような状態のことを言います。
- 興味関心のある事だから、自分でしたくて勉強している。
- 将来の目標達成のために勉強している。
- 命令されている訳では無いが、テストでいい点数をとって親をビックリさせたいから勉強している。
このように、自分の内側からジワジワと湧き上がってくるようなやる気に基づいて行動をすることを、内発的モチベーションに基づいた行動と言います。
そして、この2つの種類のうちで自発性・持続性・効率性の面ですぐれているのは2つ目の「内発的モチベーション」の方です。
つまり、子供が「自分から」「継続して」「効率的に」勉強をするためには、子供の「内発的モチベーション」を発動させるような取り組みを行えばいいのです。
しかし、子供が自分の内側からモチベーションを感じてくれるために出来ること、
といってもなかなか思いつかないと思います。
そこでこの記事では、この「内発的モチベーション」が一体どのような要素に基づいて構成されているのかをまず説明します。
そして、それら構成要素のそれぞれを効果的に刺激することで、
子供の「やる気スイッチ」を押す「科学的アプローチ」を提案します。
モチベーションを構成する要素と刺激方法
その諸要素とは、以下に示す4要素の事です。
- 自律性
- 有能性
- 関係性
- 理想的自己イメージ
それでは一つずつ紹介し、その効果的な刺激方法を紹介します。

モチベーションの要素① 「自律性」
「自律性」とは、
- 自分で選択したい。
- 自分で責任を持ちたい。
という欲求がある状態を言います。
他人から指示されたり、命令されたりするからではなく、
自己責任のもと、自分の判断・意志を使って決定を行いたいという感情を持つとき、
それは自律性があると言われます。
つまり、子供に内発的な動機を持たせるためには、英語の勉強に対する「自律性」を子供に持たせれば良いのです。
そのためには、例えば、
- 子供がもともと興味関心をもっている事を、英語で学ぶ機会を提供する。
- 誰かの指示に従っているのではなく、自分自身の選択によって英語を勉強しているのだ、という感覚を覚えさせるために辛抱強く待ってあげる。
- 本屋に子供を連れて行き、買う英語の絵本を自分で選ばせてあげる。
といったアイデアが考えられると思います。
その他にもたくさん、子供の自律性を育てるような取り組みは考えられるでしょう。
ポイントは、親が関与するのはあくまでもアドバイスや誘導まで。最終的な意思決定は子供に任せるという事。そして子供の意思決定が英語の勉強に繋がるような誘導を行うことが大切なのです。
やる気の要素の1つは「自律性」。
自律性を持たせるためには、自分の意志で英語を勉強しているのだ、という感覚を子供に覚えさせるようなアイデアを探してみよう。
モチベーションの要素② 「有能性」
「有能性」とは、
- 自分にはこれが出来ると感じる。
- 自分はこれを成し遂げて達成感を感じたい。
といった感覚や欲求がある状態を言います。
一見困難に見える事でも、自分になら出来るという自信がある時、それは有能性を感じていると言います。
つまり、子供に内発的な動機を持たせるためには、英語の勉強に対する「有能性」を子供に感じさせてあげれば良いのです。
そのためには、例えば、
- 小さいころから、子供が達成したことに対しては小さなことでも思いっきり褒めて自信を育ててあげる。
- 勉強した英語を覚えたり、話したりした時に、子供の能力の高さを認めて褒めてあげる。
- ◯◯くんは賢いから、◯◯ちゃんは優秀だから、こんなに簡単に英語をおぼえちゃうんだね、などと言って自信を感じさせてあげる。
といった声がけを日頃から行うと、子供は自身の有能性に気付きやすくなります。
子供は誰でも、興味や関心があることにははまりこんですぐに身につけてしまいます。
そのため、英語への興味関心を感じさせる取り組みとセットで、有能性を感じさせる声がけをすると良いでしょう。
やる気の要素の二つ目は「有能性」
子供に自分は有能だぞと感じさせる事は、自信を持たせるという事と同じです。
些細な成果でも積極的に褒めて、子供に自己効力感を感じさせてあげましょう。
モチベーションの要素③ 「関係性」
「関係性」とは、
- 周囲の人と関わりたい。
- 目上の人に評価されたい。
といった、他の人との関係の中で、モチベーションを感じている状態のことをいいます。
ただし、内発的モチベーションの要素における「関係性」においては、
「命令」や「指示」による外発的モチベーションの刺激とは異なる性質のものを指すのでそこはご注意ください。
そうならないためにも、子供が自分で、身の回りの人間関係の中からやる気を出す理由を見出せる状態を作るといいのです。
そのためには、例えば、
- 家族だけでなく、おじいちゃん・おばあちゃんからも、英語を勉強していることを褒めてもらう。
- 家だけでなく、子供向けの英語教室に通わすなどして同じように勉強している友達を作らせてあげる。
- 英語圏への旅行を通じて、将来的に海外で英語を使ってコミュニケーションをしたいと思うよう誘導する。
といったアイデアがあるでしょう。
やはり、大人もそうですが、人間というのは、他人との関係性の中で自分を定義する生き物です。
その意味でも、周りとの関係の中で、やる気を持つことはとても効果的なのです。
やる気の要素の3つ目は「関係性」
親族や友達や年上の子達など、周りの人間関係の中で自然と英語へのやる気を感じるような状態にうまく導くことがポイントです。
モチベーションの要素④ 「理想的自己イメージ」
理想的自己イメージとは、英語使用者としての自分の理想的なイメージのことです。
そして、こういう風になりたい、と自分の英語話者としての理想的なイメージを描くことが動機につながるのです。
これは、理想とする自分の将来の姿と現在の姿とを比較し、
そのギャップを埋めようとする気持ちが、モチベーションとなって英語の学習へのやる気へとつながるからです。
つまり、子供に、英語話者としての理想的なイメージを描いてもらって、
そのイメージになりたいと強く願わせるようにすると良いのです。
そのためには例えば、
- 世界で活躍している偉人たちが英語でプレゼンテーションして喝采を浴びている様子を見せてみる。
- 中学・高校生の英語の発表会などに参加してみて憧れを抱かせる。
- 海外旅行を通じて、英語を話せるととても役立つという事を感じさせてあげる。
といった事が考えられるでしょう。
今すぐ出来る事としては、TEDという世界で活躍する子供から大人までが英語でスピーチする様子を配信しているサイトがあり、おすすめです。
下に紹介する動画のように、子供でも立派に英語でプレゼンテーションをしている様子を見せることは子供にとっても刺激になると思います。
下の動画では、13歳のアフリカ人の子供が、英語で頑張りながらスピーチをしています
ライオンから村を守るために、ライオン避けのライト付き装置を発明したという内容で、
内容自体もすごいのですが、同じような年齢の子供が一生懸命英語で発表しているのを見るのは、子供にとっても刺激になるでしょう。
その他にもこちらの記事ではTEDで発表している9人の子供が紹介されています。
ネイティブの子も多いのですが、それでも同じ年齢の子が英語で話す様子を見ることは大いに刺激になること間違いなしです。
モチベーションの仕組みを理解した科学的アプローチで、子供の「やる気スイッチ」を押そう!
ただ漠然と、子供のやる気をあっぷするために色々と考えて施策をするよりも、
この記事で紹介した4要素に沿って、アイデアを試していくとお子さんにとってドンピシャのモチベーションアップの方法が見つかるはずです。
- 自律性
- 有能性
- 関係性
- 理想的自己イメージ
これら4要素を刺激するようなアイデアを、是非色々試して見てください。
英語に対する内発的な動機を子供が持つようになれば、親がわざわざ指示しなくても、
自発的に・継続的に・効率的に、どんどん英語知識を吸収するようになります。
そうなれるためにも、日頃から子供のことをよく観察して、
暖かく、辛抱強く、子供の可能性を最大化してあげるように、
色々なことを見たり聞いたり、体験させてあげたりすると良いですね!
そうした豊かな経験の中で、きっと子供は自分で英語を勉強する理由を見出せるようになるはずです。
まとめ
以上いかがでしたでしょうか。
このサイトでは、子供の英語教育に携わる親御さんにとって役に立つような情報の提供を心がけており、
この記事でご紹介した子供の英語への「やる気」をあげるためのノウハウ以外にも、悩み別・時期別などで多くの情報を発信しております。