多読や多聴という英語の勉強方法をご存知ですか??
日本人にとっての英語をはじめとした第二言語の習得においては、この多読や多聴という方法がとても効果的であることが分かっています。
そして、特に子供がまだ小さいころから、この多読・多聴の習慣を身につけておくと、その後の人生において、英語能力の向上が期待されるだけでなく、
より広い意味での人間力全般においても、多大な恩恵を得ることが出来ます。
そこでこの記事では、「多読・多聴」に関する一般的な理解から、おすすめの学習教材(GR・LRなど)・方法の紹介を行います。
是非ご一読下さいね!
この記事の内容
多読・多聴は子供の英語教育において効果絶大!
英語の学習においては、一般的には、英文法や英単語の習熟度合いを高めていき、自分の読める英語のレベルをどんどん上げていくという方法がとられています。
しかし、この学習方法では、一定のレベルに達したところで頭打ちになり、よりハイレベルな英語長文や、ニュースレベルの英語を聞き取れるレベルにはなかなかなりにくいです。
英語の能力を一線超えたものにするためには、英語で英語を理解していくような「英語脳」を育てること、そして理解力の土台となる教養面での成熟が必要です。
英語能力だけが上がっても、知識全般での成長も同時に行っていかないと、英語は読めるけど何を言っているのか理解が出来ないという状況になりかねません。
そういった問題を一気に解決する勉強方法が、この記事でも推薦している「多読・多聴」による英語学習方法なのです。
それでは、まずは多読に関して、その概要面と効用面、勉強方法などを紹介していきます。
多読で英語理解力が伸びる理由・効果的な方法
比較の面から、多読とセットで説明される事が多い「精読」についてまず紹介します。
精読とは?
精読とは、文章の一文一文について、語や文構造を細密に確認・分析しながら読み込むことで、「文法訳独法」とも呼ばれます。
文字通り、精度高めで読み込む方法のことで、英文法知識を駆使して細かく読解を行います。
この方法の良さはなによりも、「読みの正確さ」を習得することが出来ることに尽きます。
もちろん、「読みの正確さ」を高めることは重要です。
将来的に難解な英語論文や学術誌、ビジネス文書などを読む必要がある場面では、正確にその内容を理解する事が求められるからです。
しかし、英語の勉強という観点からいうと、デメリットもあります。
そのデメリットとは、
・時間がかかるから、インプットの量が少なくなる。
・正確さを重視するクセがつくと、英語の流暢さの向上には繋がりにくい。
というものです。
精読はもちろん大切だけれども、それだけでは英語能力の効果的な向上は望めないよね、
という事です。
そして、このデメリット面をカバーし、追加的なメリットをもたらす学習方法が、これから説明する「多読」となります。
多読とは?
多読とは、大量の英文を読むことです。
そして、ただ大量の英文を読むのではなく、自分が読みたい内容の英文を、自分のペースで楽しみながら読む、また知らない単語に出くわしてもいちいち調べずに文脈から判断して6〜8割程度の理解で読み進めていくという方法です。
・好きな内容を読む
・自分の好きなペースで読む
・分からない単語があってもいちいち調べず出来るだけ文脈からその意味を理解する
というのがポイントです。
非常に簡単な英文から読み始め、ストーリーの展開を楽しむという事を重視するのです。
多読の効用・メリットとは?
そして多読には以下のようなメリットがあります。
- インプットの量を稼げる
- 文頭から次々と英文を理解していく直読直解の流暢さを習得できる
- 英語を学ぶ、よりも英語で学ぶという姿勢が身につく
つまり、多読は、精読に比べて、「英語脳」を育てるのに向いていて、英語で英語を理解する能力の向上が見込めます。
また、英語は勉強するもの、となりがちなところを、
「英語で勉強する」という発想を子供に持たせることもできるのです。
その他にも、興味のある分野の本を英語で読むことで新しい知識や情報を得て視野が広がり、もっと興味関心のある分野が増えていくという好循環も期待できます。
ここまでくると、多読は主にリーディング能力といった英語能力の向上だけでなく、子供の学力全般・人間力全般の向上も大いに見込めるのです。
ここまでで述べてきたように、精読・多読にはそれぞれの良さがあります。
どちらかに偏重になるのではなく、精読と多読はお互いを補い合う関係であることを理解し、双方の良さの組み合わせが大切です。
効果的な多読の方法。GRやLRなどのレベル別の本・絵本がおすすめ!
それでは、多読のための英語教材として、どのようなものを子供に与えてあげれば良いのでしょうか。
そこでおすすめするのが、「GR(Graded Readers)」や「LR(Leveled Readers)」として知られるレベル段階別の多読教材です。
GR・LRは、分量や使用される語彙や文法がレベルごとに調整されており、辞書に頼らないで自分に合ったレベルの本を読めることを念頭に分類されています。
おおすすめのGR教材の紹介
GRは、英語学習者向けの英語教材で、以下に紹介するように多様なジャンルがあります。
おすすめのGR教材としては以下のものがあります。
Cambridge English Readers (CER)
ケンブリッジ大学により編纂されているレベル別の教材で、良質な教材が揃っています。
下記サイトよりすすみ、横のレベル別で検索をかけ、買いたいものがあればアマゾンなどで検索して購入することをおすすめします。
Cambridge English Readers (CER)
Foundations Reading Library (FRL)
こちらもレベル別に構成されている英語書物です。
親しみやすいテーマを扱っており、物語を読みながら文法や語彙を自然に学べるようになっています。
Foundations Reading Library (FRL)
Macmillan Readers (MMR)
大人向けのレベル別英語本も揃えておりますが、下記のリンクからは、子供向けに6レベルに構成された英語の絵本類があります。
子供にとって興味が湧きそうな可愛らしい絵と簡単な表現が特徴です。
Oxford Bookworm Library (OBW)
オクスフォード大学が編纂しているレベル別の英語教材です。
下記のリンクでは、すでに子供向けのページを指定しております。
横欄の絞り込みで、子供レベルですと「A1」を指定すると良いでしょう。
Person English Kids Readers (PKR)
ディズニーとのコラボレーションの英語絵本がたくさん用意されており、手堅いシリーズです。
こちらもレベル1〜6まで別れており、子供のレベルに合った教材を選びやすくなっています。
Person English Kids Readers (PKR)
おすすめのLR教材の紹介
LRは英語圏の子どもを対象に作られたレベル別の英語教材です。
おすすめのLR教材としては、以下のものがあります。
Oxford Reading Tree (ORT)
イギリスの子供も実際に使うハイクオリティーの教材です。
語学教育の面から様々な工夫もあり、音声ペンや、シールなどを活用しているシリーズもあります。
I Can Read ! Books (ICR)
レベル別に英語本がたくさんあり、豊富なキャラクターが子供の興味を沸きたてそうです。
サイトのメニューからレベル別に書籍一覧ページに行ってみると良いでしょう。
教材選びの注意点
GR・LRの教材選びで留意しておきたい事は、同じレベル表示でも、シリーズによって難易度が異なるという事です。
つまり、あるシリーズのレベル1と、他のシリーズのレベル1の難易度が同じとは限らないのです。
このように難易度の設定の仕方がシリーズによって異なるため、シリーズ間の内容を安易に比較しないようにする必要があります。
そこで参考になるのが、SSS(Start with Simple Stories)英語多読研究会が発表しているYL(読みやすさレベル)です。
このYLは、上記述べたようなシリーズ間の違いを考慮した上で、多読用の本の難易度を一貫した基準で評価している指標です。
この指標は、0.0から9.9まであり、数値が小さいほど読みやすいことを表しています。
そのため、子供に買ってあげる多読用の本を選ぶ際には、このYLの指標も参考にすると良いでしょう。
多読ではどのように・どのくらい読めばいいのか。
多読をするにあたっては、以下の4ポイントを押さえましょう。
- いちいち日本語に訳さず、英語のまま理解する努力をする。
- 完璧な理解ではなく、6〜8割程度の理解でどんどん読む。
- どんどん読むことを重視し、分からない単語は文脈から判断する。
- 興味感心の本を選び、英語で学んでいる姿勢を持つ
もし、以上の4ポイントを押さえるのが難しいと感じた場合は、選んでいる教材のレベルが子供の今のレベルと合っていない可能性があります。
高い難易度にこだわらず、スラスラと気持ちよく読めるレベルで読むことが大切です。
また、どのくらい読めばいいのか、に関しては、
10万語程度の読み込みで成績が伸び始め、100万語を読み込むころには、楽に英語が読めるようになると言われています。
しかし、「100万語を読もう!」、と思ってもどのくらいの量なのか分かりずらいですよね。
そのため、「だいたい、100冊読む」
を目標にすると良いでしょう。
小学校のうちに100冊読むのは難しいかと思いますので、中学を卒業するころにはレベルを問わず100冊読破できると、正直すごいです。
小学校5年生ころから多読を始めたとすると、中学三年生卒業までに約5年間。
1年当たり20冊、1ヶ月当たりでみると毎月1〜2冊を読めれば目標達成できます。
ただ、これはあくまでも理想上の計画に過ぎませんので、最初はとにかく1冊でもたのしみながら読むという経験を持たせることが大切でしょう。
また、100冊とまでいかなくても、数十冊程度でも、かなりの英語力の向上は見込めますので是非積極的に取り入れていきましょう。
多聴で英語理解力が伸びる理由・効果的な方法
まずは比較の面から、多聴とセットで語られる事の多い、「精聴」についての説明を行います。
精聴とは??
精聴とは、音制言語の一語一句を逃さず正確に聞き取る事です。
文字通り、精度高く、聞き取る、のが精聴です。
この精聴のメリットとしては、「聞き取りの正確さが向上する」という事が挙げられ、学習方法としては、「ディクテーション」という、聞き取った内容を丸々書き出すという方法があります。
一方で、デメリットとしては、
・インプットの量の確保が難しい
・処理速度の向上は見込めない
という点があります。
つまり、精聴ばかりでは、英語のニュースや、海外ドラマ、また英会話など、
早い理解が必要な場面で必要な、英語を聞いたまま理解するという能力の向上の面ではとても効果的とは言えない方法なのです。
多聴とは?
一方で、多聴とは、優しい英語を大量に聞き、概要を把握するような聞き取りの事です。
多聴でのポイントは
・簡単に理解できるレベルの英語を沢山聞く
・興味感心のある領域の話などを聞くと効果的
・何度も聞く中で英語の耳を養う
という事が挙げられます。
多聴の効用・メリットとは??
多調から得られるメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
・大量のインプットが期待出来る
・聞いた先から次々と理解できるように情報処理の速度を上げる事が出来る
・ながら学習ができるので、通学中など継続的な学習がしやすい
といったメリットが挙げられます。
その中でも特に大きなメリットとしては、英語を聞いた先から次々と理解できるという、「言語処理の自動化」の効果を期待できるポイントがあるでしょう。
読む時とは異なり、聞くときには英語は待ってくれず、いちいち日本語に訳すというような余地はありません。
大量の優しい英語を聞き続けるうちに、頭の中で日本語に変換するプロセスは省かれ、英語を英語のまま次々と理解していくスキルが身についていくのです。
効果的な多聴の方法・教材の紹介
多聴では、多読の際に選んだレベルより一層低いレベルの教材を選んであげることが肝心です。
目安としては、文字を見なくてもおおよその内容が理解できるレベルが理想です。
読むのとは違って、聞くのはやはり難易度があがるので、扱う題材のレベルを下げる必要があるのです。
そこでここでは聞き直しや文字での確認ができるような、文字と音声がそろった多聴の教材を紹介します。
コスモピアの「多読多聴ステーション」
こちらのサイトでは、多聴を始める前に、自分にあったリスニングレベルを確認することができます。
Story Online
著名人による絵本の読み聞かせサイトです。
絵や効果音が工夫されており、朗読は素晴らしいです。
大人でもついつい引き込まれてしまうような良質な教材が揃っていてオススメです。
朗読動画の一例↓↓
Extensive Reading Central
ジャンル・レベル・総語数などを参考に選ぶことができます。
また録音されている音声も、一般人の自然な会話なのでより実践的な聞き取り能力の向上が期待できます。
audible.com
膨大なタイトル数を誇る、アマゾンのサービスです。子供向けでは、年齢別に4つに分類されています。
その中から良さそうなものをピックアップしてみると良いでしょう。
VOA Learning English
英語初中級者向けで、アメリカの公共放送によるニュース教材です。
話者はとてもゆっくり・はっきり話してくれとても聞き取りやすいです。
またボキャブラリー強化・文法強化など、ジャンルも豊富です。
VOAの動画の例↓↓
TED
世界で活躍する人々による短い英語プレゼンテーションが豊富に揃っています。
ジャンルも豊富で、なによりも内容の質が高く、かなりの教養が身につきます。
ただ、英語中上級者向けなので、将来的に子供がこれくらいの内容を聞き取って理解できるようになれることを目標にすると良いでしょう。
TEDの動画の一例
多聴ではどのように、どのくらい聞けばいいのか。
英語をはじめとした外国語は、聞き流していればいつか突然分かるようになる、ということは残念ながら期待できません。
聞きっぱなしではなく、音声付きの多読教材を用いて、文字を読みながら音声を聞くという復習プロセスも挟むとより効果的です。
また、「ながら学習」でもよいので、毎日短時間だけでも英語を聞く習慣を子どもにつけてあげるとかなり良いと思います。
多聴に限らず、リスニング能力の向上において効果的な方法ではありますが、
モデル音声と同時に声を出す「パラレル・リーディング」や、
音声を追いかけるように声を出す「シャドウイング」も、
取り入れるとより一層の効果を期待できるでしょう。
子供の英語能力向上のためには多読・多聴がおすすめ!
以上、子供の英語能力の上達における、多読・多聴に関する一般的理解の解説から、GR・LRなどのおすすめの英語教材の紹介を行いました。
これからの日本の英語教育は従来の読み(リーディング)・聞き(ヒアリング)の二技能型の教育から、読み・聞き・書き・話し(対話と発表)の四技能型の英語教育に変わります。
それに合わせて、学習者に求められる英語能力の質も大きく変わってきます。
そのような中で求められるのは、より本質的な語学学習です。
その意味で、多読や多聴という取り組みは、リーディング・リスニング能力を伸ばすことはもちろん、
書いたり、話したりする際の内容力や展開力の土台作りにおいても多大な恩恵をもたらします。
できれば中学卒業までに100冊の多読を。
できれば毎日英語を聞く多聴習慣を。
是非お子さんが習得できるように、工夫をしてみてあげて下さい。
最後に
以上いかがでしたでしょうか。
この記事では、子供の英語力アップにおいて、多読の習慣が後々大きな成果になって戻ってくることについてご紹介してまいりました。
このサイトでは、この記事でご紹介したような、子供の英語教育に役立つようなアイデアやノウハウなどを様々な観点からご紹介しておりますのでご興味のある方は是非他の記事もご覧になって行ってくださいね♪