全く同じ時期に英語の勉強を始めた子供でも、その習熟スピードは全くことなります。
「周りの子はもうあんなに英語に慣れているのに、どうしてうちの子は、、、」
「全く同じ英語の授業を受けているのに、どうしてうちの子は成績がなかなか伸びないの??」
「みんな英語を勉強しているというのに、どうしてうちの子は全然集中力が続かないのかしら、、、」
このようなお悩みを抱えている親御さんは多いのではないでしょうか。
色々と手は尽くしてみるものの、なかなか子供は親の期待に応えてくれません。
しかし、だからといって諦めてしまうのはとてももったいないことです。
このサイトでは、子供の英語教育に役立つようなノウハウやアイデアも、
様々な観点から発信させて頂いております。
そしてこの記事では、自分の子供に合った英語の勉強方法を模索しているという、
親御さん達の悩みを解決できるアイデアとして、
自分の子供の個性を把握して、それに基づいて適切な英語学習プランを考案するための着眼点をご紹介していきます。
この記事の内容
英語の習得スピードには個人差があり、子供の個人差に合わせた学習方法の調整が必要
英語の教材を買ってみたり、英語教室に通わせてみたりしてしまうと、それで安心してしまう方は多いです。
しかし後は子供が勝手に習得していってくれるだろうと期待するのは、運任せをしているようなもので、もし本当に子供の英語能力を伸ばしておいてあげたいと願うのならば、もう一歩踏み込んだ取り組みが必要です。
なぜならば、全く同じ環境の中で勉強していても、習熟の度合いが異なる理由は、子供は誰一人として同じ存在はおらず、一人一人異なった存在だからです。
大切な事は、そんな子供一人一人の違いに注目をして、個人個人にあった勉強の方法を提案したり調整してあげることです。
しかし、子供の個性に合わせて勉強のやり方を提案してあげると言っても、そもそも子供の個性をどうやって分析していけばいいのか、という疑問が浮かびます。
そこでこの記事では、英語習得における子供の個人差を分けているポイントを5つ紹介します。
ポイント① 動機のありか(モチベーションの有無・種類・内容)
まずポイントの一つ目は、
子供の英語の勉強に対する動機(モチベーション)はどのようなものか?
という問いを考える事から始まります。
まず、動機付けには、①内発的動機付けと②外発的動機付けの二種類があります。
内発的動機付けとは、特に誰かから指示されることもなく自分の内面から何かを学ぼうとする意欲のある状態に導く事です。
外発的動機付けとは、他者から強制したり、報酬などの見返りのために何かを学ぼうとする意欲を出させる方法の事です。
これらのうち、勉強に関しては外発的動機づけよりも、内発的動機付けのほうが、学習スピードをあげるために効果的であることが分かっています。
子供に英語を勉強させようとしない。子供が自分からモチベーションをもって英語を勉強したくなるような工夫があると効果的。
ポイント② 性格
学習の個人差はもちろん性格にも左右されます。
しかし、性格というのはなんとなくは分かるものの、「うちの子はこれこれこういう性格です」というような感じにはなかなか説明できないものです。
そこで子供の性格を5つの要素で分類するBIG FIVEモデルによる性格研究をご紹介します。
このBIG FIVEモデルでは性格は以下の5つの指標で評価されます。
- 経験に対する開放性
- 誠実性
- 外向性・内向性
- 同調性
- 過敏性・感情安定性
そして、この5つの要素の中では、とくに「①経験に対する開放性」が、言語習得においては影響力が大きいとされています。
この「経験に対する開放性」とは、何か新しいものに対して好奇心を持って取り組む事に抵抗を感じない性格のことをいいます。
この性格の特性をもっていると、英語をはじめとする第二言語のコミュニケーション能力をすばやく高めることができるという事が分かっています。
新しいものに対する好奇心を育てるような工夫が効果的。
例えば、子供が何か新しい事柄に興味関心を示したら思いっきり共感してあげたり褒めたりしてあげる事を小さい頃からしておくと、そのような性格を持ちやすいでしょう。
ポイント③ 認知スタイル
認知スタイルとは、外部からの情報に対してどのように反応するか、という事です。
同じ情報を与えられても、どのように知覚し、どのように認識するのかが人によって異なるのは、この認知スタイルが異なるからです。
そのため、全く同じ教材、全く同じ授業内容でも、子供によって反応が異なるのです。
親としては、うちの子が一体どのような認知のクセをもっているのかという事を日頃から観察して、子供の認知スタイルに合った学習方法の提案が必要です。
全く同じ教材・授業でも子供によって反応は異なる。
子供の認知スタイルの性質を理解して、子供に合った勉強方法の提案が必要。
ポイント④ 外国語学習ストラテジー
外国語学習ストラテジーとは、外国語学習という困難な課題に立ち向かうための策略の事をいいます。
例えば、
・単語リストに単語を書いていき、めくりながら覚える
・英語の本を何冊も読む中で身につけていく
・英語のドラマを何回も見ることで聞き取り能力を伸ばす
といった事も、立派な外国語学習ストラテジーの一つです。
そして、英語学習において高い成績を収めている人の勉強方法を体系的に研究し、そのチェックリストを作成したもので有名なものが、
「SILL(Strategy Inventory for Language Learning)」
として知られるオクスフォードの「外国語学習ストラテジー・リスト」です。
SILLで挙げられている6つのストラテジー
このSILLでは、以下の6つのストラテジーが挙げられています。
- 記憶を促すための「記憶ストラテジー」
- 外国を理解・学習・使用する際の様々な行動を意味する「認知ストラテジー」
- 自分で自分の勉強を計画し実行・チェックする「メタ認知ストラテジー」
- 自分の外国語能力の不足を埋め合わせる「補償ストラテジー」
- 感情をうまくコントロールするための「情意ストラテジー」
- 他者と協力して学習を進める「社会的ストラテジー」
そして、この6つのストラテジーの中でも、特に「③メタ認知ストラテジー」が大切とされています。
それは、自分で学習の計画を立て、やる気を維持し、言語仕様や成果確認の機会を自ら作り出せるようになることは自立的な学習者になるために不可欠だからです。
SILLで掲げられている6つのストラテジーを、子供はバランスよく兼ね備えることが出来ているか着目。
足りないストラテジーがあれば、勉強のコツなどをアドバイスしてあげて導いてあげると良いでしょう。
ポイント⑤ 年齢
言語学習においてはやはり「年齢」という要素も影響力を持ちます。
つまり、年齢によって英語の学習のスピードや効果、方法などは異なってくるという事です。
ポイント①から④までも、子供の年齢に応じて変わってくるでしょう。
年齢に関しての予備知識としては、「言語獲得の臨界期仮説」が知られています。
「言語獲得の臨界期仮説」とは、ある言語の完全な母語話者となるためには、一定の期間の間にその言語に適切な量および方法で触れなければならず、その期間つまり「臨界期」を過ぎてしまうと手遅れになる。
という仮説の事で、一般的にはこの臨界期は12〜13歳くらいと言われています。
つまり、小学校を卒業するくらいまでがリミットという事になります。
しかし、最近は、そうとも限らず13歳以降でも母語話者レベルの習得をしている人も多くいるという報告もあり、臨界期については気にしなくていいでしょう。
実際、生活や仕事を支障なくできる程度に言語を習得するために、勉強の開始に早いも遅いもありません。
習熟スピードアップのためには、年齢にあった学習方法の提案が必要。
うちの子はどんな子??
ここまでの内容をまとめると、英語をはじめとする第二言語習得における個人差を分析するに当たっては、以下の5項目に注目して子供を観察すると良いでしょう。
【英語学習における個人差を決める5要素】
- 動機付けの有無・種類・内容
- 子供の性格(BIG FIVEモデルによる分析)
- 認知スタイルの癖
- 外国語学習ストラテジー
- 年齢
うちの子はどのような動機を持っている?
お子さんは英語に対するモチベーションを持っているでしょうか?
そして、そのモチベーションは、子供が自ら感じているものでしょうか?
それとも、親からの指示や強制によって無理矢理に感じているモチベーションでしょうか?
理想としては、子供が自分の内側からやる気を感じていて、かつそのやる気を維持している事です。
そのための方法を探るにあたって内発的動機を構成する5つの要素を紹介しました。
その要素を一つずつ確認しながらどのような事ができるか考えて見ると良いでしょう。
うちの子はどのような性格を持っている?
子供の性格を、はっきりと把握することは難しいかもしれません。
そのため、紹介したBIG FIVEモデルを念頭に、日々子供の様子を観察してみると良いでしょう。
大人もそうですが、自分の性格に合わない方法だとどうしても成果はあがりませんよね。
子供の性格にあった学習方法の提案ができると良いでしょう。
うちの子はどのような認知スタイルを持っている?
見たり聞いたりした事に対して、子供は普段どのような反応を見せているでしょうか。
やはりここでも日頃からの子供の観察が効果を発揮します。
同じ内容でも、見せ方や意味付けが異なるだけで、全く異なる反応をします。
自分の子供がもっとも興味関心を示すパターンを把握して、それに合わせて学習を促すと効果的でしょう。
うちの子はどのような方法で英語を勉強している?
特に指示しなくても子供が勝手に勉強方法を編み出していますが、やはりそのままだと偏りがあります。
単語帳に書くところまではできるけど、書きっぱなしで復習しないのは、勉強方法としては間違っていると言えます。
しっかりと復習できるような仕掛けが必要です。親のこれまでの経験をもとに、効果的な勉強方法などをアドバイスして子供なりの良い勉強方法のアイデアを思いつかせるように誘導してあげると良いでしょう。
うちの子は年齢に合った勉強をしている?
親が焦るあまり、まだ日本語もあやふやな状態なのに、高度な学習教材を与えてしまっていることがよくあります。
英語を聞き流すにしても、まったく意味を理解できないレベルの英語を聞かせ続けても全く学習効果は見込めません。
また、子供の成長段階を超えてしまっている難易度の内容を見せても、理解できず興味関心を示すことができません。
子供の年齢、成長段階に合った内容・レベルの英語教材を親が選んであげると良いでしょう。
英語の習得には個人差がある。子供の個人差に合わせた学習方法の考案と調整が大切
全く同じ英語教材・英語授業を与えても、子供一人一人の習熟度合いは大きく異なってきます。
それは2人として同じ人間は存在しないという当たり前の理由によるものですが、
子供の教育となってしまうと、どうしても子供の個性を無視したものになってしまいがちです。
「評判がいいから」
「自分には効果があったから」
「知人には効果があったから」
といった理由だけで、その英語教材を採用しても良いのでしょうか?
大切なことは、自分の子供の特性を理解して、その特性にあった効果的な方法を考案して与えてあげるということです。
この記事では、主に子供の個性に基づいた勉強方法の考案という観点から、明日からの英語教育に役立てそうな内容を紹介しました。
英語教育に限らず、日頃から子供の様子を観察してあげることは大切です。
是非今日から子供をもっと注意深く観察して、子供にあった勉強方法を一緒に考えてあげましょう!
日頃から注意深く子供のことを観察していけば、自然と子供にあった勉強方法が思い浮かんでくるはず!
この記事の内容を念頭に、子供に合った英語学習方法の考えて見ましょう!
まとめ
以上いかがでしたでしょうか。
この記事では子供一人一人に合った英語の勉強法の提案をさせて頂きました。
このサイトでは、この記事でご紹介したように、子供の英語教育に役立つようなアイデアやノウハウを、悩み別や時期別など様々な観点でご紹介させて頂いております。